父の自宅酸素療法は先生にこちらからお願いして始まりました。
自宅酸素療法を始める時に、どんな機器が必要なのかいくらかかるのかと調べましたが、正直全くわかりませんでした。
そこで、今回は我が家で実際に自宅酸素療法を始めるにあたって知った情報と、困ったこと、工夫したことなどをご紹介します。
自宅酸素療法で届いたもの
自宅酸素療法を始めるにあたって、届いたものはこちらのものでした。
・酸素濃縮装置
・酸素ボンベ
・酸素ボンベ用呼吸同調式デマンドバルブ
・酸素ボンベのケース+キャリー
・酸素ボンベの保管箱
・予備のカニューラ
こちらは「酸素濃縮装置」と言われるもので、空気を圧縮して、窒素を除去することで、高濃度の酸素を生成します。
ちなみに、普通に生活している私たちが吸っている空気は酸素濃度は20%なのだそうですが、こちらの酸素濃縮装置を使うと濃度90%の酸素が排出できます。
ちなみに、大きさは空気清浄機程度です。機械の前面の黒い部分がフィルターになっていますが、ここから空気を取り込んでいます。そのためフィルターの掃除は必須です。
写真に写っている緑色のチューブは鼻につけるカニューラと呼ばれるチューブにつながっています。酸素はこのチューブとカニューラを通して常時鼻に届けられます。
父は、時々苦しくなって口で「はぁはぁ」と呼吸してしまいますが、こんな風に鼻で呼吸しなくても鼻から入った酸素は喉まで落ちてくるのできちんと呼吸に取り込まれるのだそうです。
外出用に酸素ボンベもきます。ボンベには専用のカバーとキャリー、そして保管箱もついてきます。
専用カバーに入ったボンベはキャリーにつけて引くだけでなく、肩掛けや斜めがけもできるように、予備のバンドがついています。
保管箱は2本入るケースですが、我が家ではボンベは2本の処方だったのでケースに1本、保管箱に1本入った状態になっています。
ボンベが1本空になったら、保管箱の予備と取り替えて電話で注文すると翌日には新しいものを持ってきてくれます。
酸素ボンベの上にこちらのような「呼吸同調式デマンドバルブ」を装着して使用します。呼吸に合わせて酸素を供給するので無駄なく酸素が使えます。
右側の黒いハンドルで取り付け・取り外しを行います。あとは、酸素のボンベの栓の開け閉めと、酸素流量の設定、酸素量のゲージ、この機械のスイッチ、そして酸素の排出口が付いています。
カニューレも月1回交換を目安に使い捨てするのでたくさんあります。毎日ずっとつけているものですから、鼻水が出たりもしますし、毎日拭いていても鼻の部分がどうしても黄色くなってきます。
我が家では毎月1日に新しいカニューレに変えてさっぱりと新しい月を迎えるようにしています。
自宅酸素療法のお値段
※2023年7月時点
自宅酸素療法の費用ですが3つの種類があるそうです。
❶酸素濃縮装置と酸素ボンベおよび呼吸同調式デマンドバルブを使用するケース ❷酸素濃縮装置と酸素ボンベを使用するケース ❸酸素濃縮装置だけを使用するケース |
内容 | 負担割合 | 月額 |
❶酸素濃縮装置と酸素ボンベおよび呼吸同調式デマンドバルブを使用するケース | 1割負担の場合 | 7,671円 |
2割負担の場合 | 15,342円 | |
3割負担の場合 | 23,013円 | |
❷酸素濃縮装置と酸素ボンベを使用するケース | 1割負担の場合 | 7,380円 |
2割負担の場合 | 14,760円 | |
3割負担の場合 | 22,140円 | |
❸酸素濃縮装置だけを使用するケース | 1割負担の場合 | 6,500円 |
2割負担の場合 | 13,000円 | |
3割負担の場合 | 19,500円 |
ちなみに、我が家の場合には「❶酸素濃縮装置と酸素ボンベおよび呼吸同調式デマンドバルブを使用するケース」となります。
なお、こちらの費用には機器のレンタル費用だけでなく、ボンベの交換(何回でもOK)や、旅行時に同じ機器を宿泊先に届けてもらうサービスなど、全ての料金が入っていますのでこれ以上の支払いはありません。
呼吸同調式デマンドバルブは3ヶ月に1回の点検・酸素濃縮装置は6ヶ月に1回の点検があり、その費用も全て含まれています。
ただし、電気代はこちらには含まれていません。
レンタル料に関しては、月に1回処方してくれた病院に行ってその料金を支払います。ただ、我が家のお支払いはここに書かれている金額よりも低めになっています。理由は不明です。高齢者の助成などがあるのかもしれません。
自宅酸素療法で困ったこと
酸素療法を始めてわかったことで衝撃的だったことは大きく2つです。
・酸素療法をしている人は火の気に近寄れない ・酸素濃縮装置は移動できない |
火は酸素に引火します。通常の空気中に20%の酸素も父には90%送り込まれているため、引火の危険があります。そのため酸素療法をしながらの直火はNGです。冬でも直火でのお鍋はできなくなりました。
また、酸素濃縮装置は1つで移動はさせられません。いつも父がいる居間に置いているのですが、父がトイレに行く時には酸素のチューブがあるので、居間のドアもトイレのドアも閉めることができません。
ただドアが閉められないというのであれば、それほど大きな問題はないのですが、冷暖房を使う季節には温度のキープがしづらいし、寝室のドアが閉まらないと寝室に廊下の明かりが入ってしまうのです。
また、逆にチューブがあるのにドアを閉めて、チューブを潰して傷つけてしまうのも心配です。
ちなみに、父が移動すると家の中はこんな感じになってしまいます。
チューブをうまく這わせないと父だけでなく家人もつまづいたりするので注意が必要です。
また、父は補聴器をしており、病院に行くにはマスクも必要になります。さらに、酸素のカニューラ も全て耳にかけなくてはいけません。
高齢者の手の感覚はだいぶ鈍くなっているのに、耳は自分の目からは見えない位置にあるため、ちょっと鼻をかみたいというだけでも、カニューラやマスクの紐が補聴器に引っかかるなどかなりの手間になります。
さらに、父の移動は車椅子です。車椅子には専用の酸素ボンベホルダーもありますが、これを購入するべきか悩むところです。
大きな病院に行くと、このように車椅子に酸素を取り付けることができるような装置がついた車椅子もありますが、車椅子を車に積んで移動する時、この装置がついていると車に詰め込めそうにありません。
また、ボンベをカバーから外さないと取り付けられないのも不便です。
自宅酸素療法で便利だった工夫
・寝室のドア対策 ・居間のドア対策 ・カニューラ/マスク/補聴器の耳渋滞対策 ・車椅子に酸素ボンベ対策 ・カニューラの鼻水対策 |
今のところ、上手く行っている対策はこちらのようなものがあります。
寝室のドア対策
最初にした工夫は、寝室のドアを段ボールで閉まらなくすることです。
また、ドアが閉まらないことで部屋の温度がが外に逃げることと、部屋の外で灯りをつけた時に寝室の中に明かりが入ることの対策も兼ねています。
自宅酸素療法をするお宅ではドアに穴を開けてしまうこともあるそうですが、我が家ではまだその決心がつかないので、この方式をとっています。
初号機は父のドアを閉める癖のため何回か破壊されたので、写真のものは2号機ですが無事に半年以上使えています。直せるのが段ボールの良いところでもあります。
居間のドア対策
寝室だけでなく、いつも父がいる居間のドアとトイレのドアも酸素のチューブを挟んでしまう可能性が高いところです。
こちらは来客もあるので、必要な時だけ洗濯バサミを使ってドアが閉まらないようにして酸素チューブの挟み込み防止をしました。
当初は、元々洗濯で使用していたピンクや黄色の洗濯バサミを使っていましたが、あまりにカラフルなので、茶色の洗濯バサミに変えました。
が、色が馴染んでしまって、洗濯バサミに気付かずドアを強くしめられ、洗濯バサミが吹っ飛びます。洗濯バサミの色については検討の余地ありです。
カニューラ/マスク/補聴器の耳渋滞対策
次に、酸素のカニューラ・補聴器・マスクなどの父の耳の渋滞問題ですが、帽子にバッジをつけることで少し改善しました。
100円均一で購入した「缶バッジのキット」と「黒い布」で黒いバッジを作り帽子に留めて、カニューラ を帽子のバッジ部分に引っ掛けるようにしました。
これであれば、帽子が変わってもバッジを付け替えるだけなので、とても簡単です。
車椅子に酸素ボンベ対策
そして、車椅子の問題ですが、思いつくまでに時間がかかりましたが意外と簡単でした。
酸素ボンベのカバーには肩掛けができるベルトが付いていました。そのベルトを伸ばすと、車椅子の押し手のところに引っかかるんです。
また、なぜかちょうどいいところにマジックテープで小さな輪っかがついていてここに杖を入れることもできます。
実は、この輪っかは酸素ボンベを肩掛けにしている方が、カニューラをまとめるために使うものなんだそうです。我が家では別の方法で役に立ちました。
この方法であれば、ボンベが剥き出しにならないので、病院で突然検査と言われても簡単に取り外しできるので便利ですよ。
カニューラの鼻水対策
カニューラの鼻水対策としては「楊枝+ウェットティッシュ」という方法があるのですが、瞬時の対応としてはちょっと面倒くさいのです。
そこで、100円均一でベビー用の綿棒を購入してみました。普通の綿棒ではチューブの鼻の部分には入りません。そこで、少し細めのベビー用の綿棒を試したところ、ちょっと頑張れば掃除ができるというところまで来ました。
もう一歩踏み込んだメイク用の細い綿棒。これはらくらく掃除ができます。ただ、簡単に手に入るものではないので、タイミングよく見つかれば購入されることをおすすめします。
まとめ
今回は自宅酸素療法についての概要をご紹介しました。
酸素があると良いかもと感じた時には、まずお近くの内科に相談されることをおすすめします。肺や心臓の機能を調べてもらえると思います。
父の場合は、肺や心臓は「年齢なみ」という言葉で、異常なしというようなことになりましたが、血中酸素濃度のわかる「パルスオキシメータ」を購入し血中酸素濃度を測りました。
パルスオキシメーターは、このような指に留めるようなものが多いです。
あまり売っている場所はありませんが、ネットでは簡単に購入できます。楽天市場
パルスオキシメーターで血中酸素飽和度が95%以下になれば、自宅酸素療法の保険適応になります。
自宅酸素療法を始めてからは、家での生活には家族全員にある程度の制約は出てきますが、父の血中酸素飽和度は99%をキープできています。
自宅酸素療法でできてしまった家族の制約は、少しづつ楽しみながら解決できると思います。ぜひ、苦労と思わずに少しずつ制約に対する気持ちの負担を軽減していきましょう!