慢性腎臓病の診断がされ腎性貧血の治療を開始しました

2022年9月(父が86歳)の時から、慢性腎臓病の診断がされ腎性貧血の治療を開始しました。

もともと、数年前から父の腎臓の数値があまり良くないことは、前立腺肥大でかかっていた病院の血液検査でわかっていましたが、医師からは「年齢なみ」と言われて治療をしていませんでした。

そこから、数値が悪くなったわけではないのですが、残念ながら別の医師の見立ては違ったということです。

父は慢性腎臓病だった!

前立腺肥大で泌尿器科にかかっているときに、腎性貧血の数値がよくないとは言われましたが、「慢性腎臓病」や「腎性貧血」とまでの診断はありませんでした。

診てくださっていた先生は「年齢なみ」ということだったので、特に「腎臓病」であると感じてはいませんでした。

あるとき、先生が変わって「腎臓の数値と貧血の数値がわかるのですが、腎性貧血ではないですか?」と聞いたら、「僕はそう思います」と答えられました。

しかし、そちらの病院では「腎臓の治療はしない」ということから、近所の内科にかかり治療を始めました。

慢性腎臓病の主な症状

・タンパク尿:尿にタンパク質が漏れ出ることで、尿が泡立つようになります。
・血尿:尿に血液が混じることで、尿が赤くなったり、茶色くなったりします。
・むくみ:腎臓が余分な水分を排出できなくなることで、足や顔などに水分が溜まります。
・高血圧:腎臓が血圧を調節するホルモンや塩分の分泌を適切に行えなくなることで、血圧が上昇します。
・尿量の変化:腎臓のろ過機能が低下することで、尿量が減ったり、増えたりします。特に夜間に頻尿になることがあります。
・だるさ:腎臓が老廃物を排出できなくなることで、体内に毒素が溜まります。その結果、体全体が重く感じたり、疲労感や倦怠感が強くなったりします。
・食欲不振:腎臓の機能低下に伴って消化器系の働きも低下し、食欲が減退したり、吐き気や嘔吐を起こしたりします。
・貧血:腎臓は赤血球の生成を促すホルモン(エリスロポエチン)を分泌します。しかし、腎臓の機能が低下するとこのホルモンの分泌も減少し、赤血球の数が減って貧血になります。貧血によって、息切れや動悸、めまいなどの症状が起こることもあります。

腎臓病にはこちらのような主な症状があるのだそうですが、初期段階では無症状で、腎臓機能は徐々に低下することとで気付きづらい病気だそうです。

父の場合は、採血の結果をみて「血清クレアチニン」の数値が悪かったことで、腎臓病だと言われるようになり、実際に症状を感じているかといえば特には感じていませんでした。

慢性腎臓病の症状として上がっている内の「むくみ」「高血圧」「夜間頻尿」「貧血」などの症状は感じています。

ただし、腎臓の病院とは別に脳(血管)外科・泌尿器科などにもかかっていたので、どこからきた症状かはわかりませんでした。

慢性腎臓病の原因

・糖尿病:1型または2型糖尿病によって、腎臓の血管や糸球体が傷つき、ろ過機能が低下します。糖尿病性腎症と呼ばれる状態で、透析が必要になる原因で最多です。
・高血圧:高血圧によって、腎臓の血管が圧迫されたり、硬化したりして、血流が悪くなります。高血圧による腎硬化症は、透析が必要になる原因で次に多いです。
・糸球体腎炎:糸球体という腎臓のろ過装置に炎症が起こることで、タンパク質や赤血球が尿に漏れ出します。原因は不明ですが、感染や自己免疫反応などが関係すると考えられています。
・多発性嚢胞腎:先天的な遺伝子異常によって、腎臓に多数の嚢胞(水ぶくれ)ができることで、正常な組織を圧迫し、機能を低下させます。嚢胞は年齢とともに大きくなります。
・全身性エリテマトーデス:自己免疫疾患の一種で、自分の組織を攻撃する抗体ができることで、全身の臓器に障害を起こします。腎臓にも影響し、紫斑病性腎炎と呼ばれる重篤な合併症を引き起こすことがあります。
・膀胱尿管逆流症:尿が膀胱から尿管を通って腎臓に逆流することで、尿路感染や膀胱・尿管・腎盂の拡張を引き起こします。先天的な異常や排尿障害などが原因です。
・薬剤性腎障害:鎮痛剤や抗菌剤などの薬剤が、直接的または間接的に腎臓に障害を与えることで、機能が低下します。薬剤の種類や量、服用期間などによってリスクが変わります。

慢性腎臓病は、主に上記のような原因があるそうです。

「高血圧」は、慢性腎臓病の症状でもあり、慢性腎臓病の原因にもなるというものなんですね。どちらが先になるのか突き止めるのは難しそうですね。

また、父はいつも塩やお醤油を大量に使うので「そんなだから腎臓壊すのよ!」といつも母に怒られています。

そこで、少し調べたところ、慢性腎臓病が進行すると腎臓は余分な塩分や水分を排出する能力が低下し、塩分や水分が体内に溜まり、血圧が上昇したり、むくみや心不全などの合併症を引き起こすのだそうです。

そのため、塩分は原因か結果かわかりませんが、あまり摂らない方が良いようなので、食塩の摂取量を減らすことで腎臓への負担を軽減することにしました。

いずれにしても、腎臓の数値の悪い方は塩分を減らした方が良さそうです。ちなみに、食塩の摂取量は一般的には1日6g以下にすることが推奨されているそうですが、腎臓の気になる方は5gとか言われていますね。

慢性腎臓病の治療法

引用元:一般社団法人日本腎臓学会(https://jsn.or.jp/)白:G1正常または高値+2正常または軽度低下・青:G3a軽度~中等度低下・黄色:G3b中等度~高度低下・橙:G4高度低下・赤:G5末期腎不全

腎臓のことで内科を受診したときに先生が見せてくれた表はこちらです。「推算eGFR値早見表」といいます。

こちらは男性用の表となりますが、女性用もあります。女性用は「こちら」をクリックしていただけると見ることができます。

左端縦に「血清クレアチニン」の数値があり、横に年齢がありこの2つのポイントがクロスした部分でおおよその「糸球体ろ過量」を推定できます。

ここからステージが分かります。上の表からわかる慢性腎臓病(CKD)の特徴と対応は以下のようになります。

  • ステージ1(白):GFR 90以上。腎臓機能は正常または高値。タンパク尿などの尿検査異常がなければCKDではない。尿検査異常があればCKDの可能性あり。対策としては、喫煙、糖尿病、高血圧、肥満などの危険因子を改善すること。
  • ステージ2(白):GFR 60~89。腎臓機能は正常または軽度低下。ステージ1と同様に尿検査異常があればCKDの可能性あり。対策としては、原因に応じた治療や生活習慣の改善を行うこと。
  • ステージ3(青):GFR 30~59。腎臓機能は軽度~高度低下。ステージ3a(GFR 45~59)とステージ3b(GFR 30~44)に細分化される。タンパク尿やアルブミン尿の数値が高いほど、末期腎不全や心血管死亡のリスクが高まる。対策としては、血圧・血糖管理を中心とした生活改善や食事療法、薬物療法を行うこと。
  • ステージ4(橙):GFR 15~29。腎臓機能は高度低下。貧血やミネラル異常、骨の異常などの合併症を伴うことが多い。末期腎不全や心血管死亡のリスクが高い。対策としては、より厳格な生活改善、食事療法、薬物療法を行いつつ、透析の開始をできるだけ遅らせること。
  • ステージ5(赤):GFR 15未満。末期腎不全の状態。腎代替療法(血液透析、腹膜透析、腎移植)を必要とする直前の状態。対策としては、腎代替療法を開始するタイミングや方法を検討すること。

    ちなみに、父の年齢は87歳なのでこの表に年齢はないのですが、おおよそ「ステージ4の橙」の範囲になりました。

    このことで近所のかかりつけ医から、近所の大きな病院を紹介され検査されることとなりましたが、再度元のかかりつけ医に戻りました。

    この時の大きな病院からかかりつけ医へのお返事に「フレイル状態にある」という報告がされてきました。

    この「フレイル状態にある」という言葉は、「どうやっても介護一歩手前」「積極的に治さずに死なないための治療をする」という言葉になることをこの時私は理解していませんでした。

    つまり、慢性腎臓病は寿命を左右しないので治療しないという判断がなされました。

    私たちはといえば、少しでも父の慢性腎臓病が良くなればと、父が個人で使う塩とお醤油・ソースは減塩のものに変更しました。

    ちなみに、減塩のものは、塩化ナトリウムを塩化カリウムに置き換えることで塩分をカットして塩味を出しています。そのため今までの塩味で食べても塩分カットができるんです。

    それなら、全てを減塩調味料にしてしまえば良いとも考えたのですが、母が骨粗相症気味であまり塩化カリウムを取らない方が良いこと。減塩調味料は高額なことから普通の調理は薄味を心掛け減塩調味料にはしませんでした。

    腎性貧血の治療が慢性腎臓病より優先されることに

    腎臓の数値が悪いということもありますが、「腎性貧血」の方が優先的に治療をした方が良いとのことで「腎性貧血」の治療を始めることになりました。

    「腎性貧血」というのは、血液のもとととなるヘモグロビンが作れなくなり貧血になってしまうという病気です。

    慢性腎臓病は寿命には影響しないものの、「腎性貧血」で倒れたりすると頭を打ったり大腿骨を骨折する可能性があり、そこから寿命を左右する可能性があるからなんだと私は理解しています。

    腎性貧血の症状

    ・動機
    ・息切れ
    ・めまい
    ・たちくらみ
    ・全身倦怠感

    腎性貧血の症状は、動悸や息切れ、めまいや立ちくらみ、全身倦怠感などがあるそうです。

    しかし、腎性貧血は徐々に進行するため、気づかないことも多いようです。

    父の場合は、「息切れ」「めまい」「立ちくらみ」などはありますが、これが他の病気からのものなのか腎性貧血からくるものなのかは判断がつきません。

    肺結核や肺炎などの肺の病気をしたことで「息切れ」になるとか、脳や耳から「めまい」「立ちくらみ」がしていると思っていました。

    ただし、食後などに失神して倒れることがあり、この際に顔色が青白かったため貧血については少し気になってはいたのです。

    腎性貧血の原因

    腎臓の機能低下

    赤血球の減少(血液が作れなくなる)

    貧血

    腎性貧血の原因は、腎臓の機能が低下することで、赤血球を作るホルモンであるエリスロポエチンの分泌が減少することだそうです。

    エリスロポエチンは、赤血球の元となる造血幹細胞に刺激を与えて、赤血球への分化を促します。エリスロポエチンが不足すると、赤血球の産生量も減少し貧血を引き起こすのだそうです。

    つまり、腎性貧血の原因は腎臓の機能低下によるものなので、慢性腎臓病になった理由が原因ということになりますね。

    腎性貧血の治療法

    ・赤血球造血刺激因子製剤(ESA製剤)=赤血球の作り方を教えてくれる薬
    ・低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬=自分でエリスロポエチンを作るように促す薬

    腎性貧血の治療法は、主に赤血球造血刺激因子製剤(ESA製剤)と呼ばれる薬を注射する方法と、低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬と呼ばれる薬を飲む方法があるそうです。

    どちらも貧血を改善する効果がありますが、患者さんの状態や医師の判断によって使い分けられます。また、鉄分が足りない場合は、鉄剤を内服したり注射したりすることもあるそうです。

    ちなみに父は低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬を処方され、毎朝1錠飲んでいます。

    ・成人男性:血色素量 14g/dl 以下、ヘマトクリット 40% 以下
    ・成人女性:血色素量 12g/dl 以下、ヘマトクリット 36% 以下
    ・妊婦:血色素量 11g/dl 以下、ヘマトクリット 33% 以下
    ・高齢者:血色素量 12g/dl 以下、ヘマトクリット 36% 以下

    ちなみに、貧血かどうかは採血の「血色素量」「ヘマトクリット」の数値から状況が分かります。

    薬を飲みながら定期的に血液検査をして状況を診てもらいながら、薬の容量を変更しながら治療をしてもらっています。

    薬を飲み始めてから顔色も良くなりました。もともと顔色が悪いとまでは感じていませんでしたが、顔色が良くなったのは驚きでした。

    これで、父が倒れなくなると良いのですが。

    まとめ

    今回は、慢性腎臓病と腎性貧血を紹介しました。こちらからお伝えしたいことは

    ・血清クレアチニンの数値から腎臓の状況がわかる
    ・腎臓の状況は「推算eGFR値早見表」を使って確認できる
    ・腎臓が悪いと「腎性貧血」になる可能性がある
    ・腎性貧血は薬で治療できる

    今回、腎臓病よりも腎性貧血の治療が優先されたのは、それぞれの症状が寿命には影響しないということからだったと理解しています。

    父は食後などたまに意識を失って倒れることがありました。腎性貧血の治療で、父の失神がなくなると良いのですが。