それまで、前立腺肥大を疑われていた父ですが、症状の把握などをしているうちに、血液検査で少量ながら前立腺癌の腫瘍マーカーが出ました。
そこで行った直腸内触診検査で前立腺癌が疑われることとなりました。それが今回の記事の内容となります。
この記事は3回シリーズです。
ここまでは下記の「①前立腺の話:前立腺肥大に引き続き前立腺癌の疑いが!」に書きました。
この記事の続きは「③前立腺の話:前立腺癌の治療方法は放射線療法に決定!」となっています。
よろしければ、合わせてお読みください。
今回は、前立腺癌の検査について紹介したいと思います。
前立腺癌の診断
【前立腺癌の検査】 ・PSA検査(血液検査) ・直腸内触診検査 ・針生検) 【癌がどこにあるかをみる検査】 |
前立腺癌の際に行う検査にはこちらのようなものがあります。
それぞれの検査につきましてはこのあとご紹介します。
血液検査でPSA(腫瘍マーカー)を調べる
前立腺癌かどうかを知る血液検査は、PSA検査と呼ばれるものです。PSAというのは、前立腺から分泌されるタンパク質の一種で、前立腺がんや炎症などで組織が壊れると血液中に増加するため「腫瘍マーカー」と呼ばれています。
PSA検査では、血液中のPSAの量を測定して、前立腺がんの可能性を判断します。PSAの基準値は一般的には0~4ng/mLとされていますが、この値だけでは前立腺がんの有無を断定できません。
PSA値が高くても癌のない人もいれば、正常値でも癌があることもあります。PSA検査は前立腺がんの早期発見や治療効果の判定に役立ちますが、確定診断には他の検査も合わせて行います。
前立腺肥大の直腸内触診検査でしこりがあった
前立腺の背部には直腸が接しているので、肛門から直腸に指を入れて前立腺に触れることができます。
医師が直接、直腸に指を入れて前立腺の全体の大きさ、硬さ、表面のなめらかさ、触れた時の痛みなどを判定します。
表面がごつごつして石のように硬いとがんの疑いが強いのだそうですが、父は直腸内触診検査で前立腺癌の可能性が高まったので、さらに次の検査に進むことになりました。
続く検査は以下のようになります
・針生検 ・エコー検査 ・MRI ・骨シンチグラフィー |
前立腺癌の針生検を受けることに
前立腺癌の確定検査として、針生検をうけました。
針生検は直腸に超音波探子を挿入して、がんが疑われる場所やがんの好発部位に自動生検装置(バイオプティガン)で針を刺入して組織を採取します。
父は10ヶ所から組織を採取したそうです。
針生検は直腸から針を刺入する方法と、会陰部(肛門と陰嚢の間の皮膚)から針を刺入する方法があるそうです。
直腸から針を刺入する場合は、麻酔なしで検査が可能で、会陰部からの場合は、麻酔が必要となるため、一般的には2~3日入院して行います。
父の検査がどちらだったかは確認していませんが、1泊の入院で検査をしていました。
前立腺癌の針生検後に大問題発生!尿閉に!
1泊入院の針生検から帰ってきた父ですが、帰ってきた当日の夜にお小水が出なくなったのです。
いつも、頻尿でお小水の出が悪かったため最初はあまり気にしていなかったようですが、明け方の3〜4時に、突然母が来て「お父さんのお小水が出ないの!」と叩き起こされました。
よく聞くと、夜寝る時から違和感を感じていたけれど、両親二人で話して朝まで我慢しようと考えてしまったようです。
父は昼間にはほとんどお小水が出ないので、夜にはたくさんのお小水が出るはずですが、それが排出できていないというのはかなりの量のお小水が体内に留まっているはずです。
あわてて、119番に電話をかけて「尿閉です」と言ったところ最小限の質問だけで、救急車を手配してもらえました。
が、病院が見つからず、家から車で30分ほどの病院で対応してもらえることになりました。
結果、尿カテーテルを入れてもらって最初に出てきたのが血尿が1800cc、徐々に血尿はなくなっていき2週間ほどかけて元に戻りました。
尿閉の理由は、父が飲んでいた血液サラサラの薬が関係していたようです。血液サラサラの薬を飲んでいて針生検を受ける方は少し気をつけておいた方が良いかもしれません。
尿閉は、放置すると上部尿路内圧が上昇し腎不全に陥ることがあるので、早めに対応されるのがおすすめです。
ただし、サラサラの薬を飲んでいるからといって、必ず尿閉になるわけではありませんので、しっかりと先生と相談して対応をされてください。
針生検で前立腺癌確定
大変な思いをした針生検でしたが針生検の結果、前立腺癌があることが確定しました。
針生検では10ヶ所に針を刺して組織を採取し、そのうち8カ所から癌細胞が出たとのことでした。
エコーやMRI・骨シンチグラフィーなどの検査で癌の状態を確認
針生検の他に、エコー・MRI・骨シンチグラフィーの検査も行い癌の場所の特定が行われました。
エコー検査は肛門から棒状の超音波探子(プローブ)を直腸に挿入し、前立腺の内部を画像で観察します。癌がある場合、黒い影として映し出されます。
MRI検査は通常は白く描出される前立腺が癌の部分のみ黒い影となって映り、その広がりや浸潤の有無などがも分かります。
骨シンチグラフィーは、癌が骨に転移していないかを調べる検査です。午前中に放射性物質を含んだ造影剤を静脈注射し、午後にシンチグラフィーで全身の骨を撮影しました。
癌の転移があると、転移した部分の骨の部分が黒く映るため、骨への転移を確認しますが、父の場合は幸いなことに骨への転移はありませんでした。
骨に転移すると骨が弱くなってしまうので、転移前に早く対応できるようにした方が良いようです。
まとめ
今回は、前立腺癌の検査のお話をしました。検査の流れは以下のようになります。
・直腸内触診検査 ・針生検 ・エコー検査 ・MRI検査 ・骨シンチグラフィー検査 |
父は、血液サラサラのお薬との関係で針生検後問題が起きましたが、血液サラサラのお薬を飲んでいても通常はこのようなことが起こる検査ではないそうです。
怖がらずに検査を受けてください。
もし、血液サラサラのお薬を飲んでいる場合には、しっかりお医者さんと話し合って万全を期してもらいましょう。
次回は前立腺癌の治療についてご紹介します。
おまけ:尿カテーテルバッグのこと
尿閉になった時のことをちょっとご紹介。
尿閉はそのままほっておくと腎不全になるので8時間以上は放置しない方が良いと言われているそうです。
父は、明け方に1800ccもの尿が排出できないまま救急車で運ばれましたが、救急車の中で一生懸命お小水を我慢していました。
ですが、救急隊員の方からは「我慢しなくていい」「(出ないけど)出していいですよ」と言われていました。こうした気持ちの持ち方で苦しさが変わるようです。
結果、父は尿カテーテルを2週間ほど装着されることとなりました。
この尿カテーテルは、尿道にカテーテルを入れるのですが、外れないように体内で風船が膨らんでいる形になっています。
カテーテルが入っていると、尿を排泄するという意識なしにバッグに尿が溜まっていきます。
1日分のお小水は余裕で入るようになっているので1日の量を確認して1日に1回、バッグの下部についている栓を開けて尿をトイレに流すようにしていました。
入院患者の方が尿カテーテルを入れた場合には、点滴のスタンドのようなキャスター付きのスタンドに尿道カテーテルのバッグを引っ掛けて移動します。
ですが、父は処置後そのまま家に帰れたので、スタンドはなく病院では尿カテーテルのバッグを紙袋に入れて渡してくれました。
自宅に着いてからは、父の移動の際に尿バッグを持って移動するのは負担が大きいため、私のワンショルダーバッグに尿バッグを入れていました。
このように、尿バッグを肩からぶら下げる方法を見つけると両手が自由になり負担が減るのでおすすめです。
この記事は3回シリーズです。
ここまでは下記の「①前立腺の話:前立腺肥大に引き続き前立腺癌の疑いが!」に書きました。
この記事の続きは「③前立腺の話:前立腺癌の治療方法は放射線療法に決定!」となっています。
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